神経内分泌腫瘍(NET/NEC)③(大腸内視鏡/大腸カメラ)
NETについては、以下もご参照ください。
以下の症例も当院で発見された、直腸Rbの2mm大のNETです。
このような小さいサイズで発見されれば、より低侵襲な内視鏡治療で治癒が得られます。
ラズベリー型胃癌①(胃内視鏡/胃カメラ)
ピロリ菌未感染の粘膜からも胃癌が発生することがあります。
いわゆるラズベリー型胃癌(低異型度高分化型腺癌)も、ピロリ陰性胃癌の一つで、発赤の強い亜有茎性ポリープの形をとることが多いとされています。
このタイプの腫瘍では、発赤したポリープの全てが腫瘍で構成されているとは限らず、ポリープのごく一部のみが腫瘍であることもあります。
写真は、当院で経験されたラズベリー型胃癌です。腫瘍自体は3mm大でしたが、癌の範囲は病理学的にφ1mm程度の範囲にとどまっていました。
十二指腸腺腫/十二指腸がん③(胃内視鏡/胃カメラ)
十二指腸腺腫・十二指腸がんについては、以下もご参照ください。
内視鏡機器および診断学の発達により、十二指腸病変がより発見されるようになってきています。
十二指腸腺腫は、大腸腺腫と同様にadenoma-carcinoma sequenceの経路を経て癌化しうる病変です。
以下の病変は、当院で発見され治療された3mm大の十二指腸腺腫です。
SSL④(大腸内視鏡/大腸カメラ)
以下の例も、当院で経験された、比較的若年の方のSPS症例です。
この症例では10mm以上のSSLが深部結腸に多発していた他、S状結腸には腺腫性ポリープを合併しておりましたが、外来で内視鏡切除が可能でした。
SSL③(大腸内視鏡/大腸カメラ)
serrated polyposis syndrome (SPS) は、SSLが多発する症候群をいいます。
以下の3項目のいずれかが該当すればSPSと診断されます。
1.S状結腸より口側に5個以上の鋸歯状ポリープがあり、そのうち2個以上が10mmを超える
2.S状結腸より口側に鋸歯状ポリープがあり、1親等以内にSPS患者がいる
3.大きさに関係なく20個以上の鋸歯状ポリープが大腸全体に分布している
SPSは高頻度に大腸癌を合併することが報告されています。
まだサーベイランス法は確立されていませんが、このような方は厳重な定期的検査が必要と考えられています。
以下の症例は当院で経験されたSPSの症例です。
この症例では20個以上の鋸歯状病変が大腸全体に認められました。
SSL②(大腸内視鏡/大腸カメラ)
SSA/Pは周囲と同色調もしくは白色調の平坦な病変で、右側結腸に好発し5mm以上の病変が多いとされています。
通常視では、表面の粘液付着が比較的特徴的で、表面に二段隆起や陥凹などの凹凸不整を伴ったり、発赤が強い場合には、dysplasiaやがんが併存している可能性が高くなるとされています。
SSA/Pから進展するがんは、比較的急速に進展するとされ、通常の腺腫由来のがんと比較して予後不良との報告があります。
以下は若年者の上行結腸に認められた25mm大のSSA/Pです。
SSL①(大腸内視鏡/大腸カメラ)
鋸歯状病変(Sessile serrated lesion;SSL)とは,病理学的に鋸歯状構造を持つ病変をいいます。
大腸ポリープは、大きく分けて腫瘍性の腺腫と、非腫瘍性の過形成性ポリープ(Hyperplastic Polyp;HP)などに大別され、後者は切除の対象外とされてきましたが、一部において鋸歯状腺管構造に腺腫性細胞異型のある病変を伴う(腫瘍と判断される)鋸歯状腺腫(serrated adenoma:SA)が存在し、がんの一部(microsatellite instability(MSI)陽性大腸癌)にも鋸歯状構造を伴う病変があります。
SSLの中で構造や色調が不均一な病変や、拡大観察で表面構造の一部に(開Ⅱ型以外の)不整構造を伴うものが、危険度の高いSSL(SSA/P with cytological dysplasia)の可能性があり、特にⅤⅠ型pit patternを示す病変は遺伝子変化ならびに組織学的に癌化をきたす可能性があるとされています。
以下の症例は、当院で経験された盲腸の40mm大のSSA/P with cytological dysplasiaの病変です。
食道潰瘍⑤(胃内視鏡/胃カメラ)
胃腸疾患には全身疾患に伴うものがあります。
以下は全身性強皮症(Systemic sclerosis:SSc)に伴う逆流性食道炎です。全身性強皮症(Systemic sclerosis:SSc)は、皮膚や内臓が硬くなる変化を特徴とした膠原病です。SScでは、食道の筋層が障害されることによる蠕動障害がおこるため、高頻度に逆流性食道炎を合併します。
SScに合併したGERDは薬物療法を行っても難治性のことがありますが、内視鏡所見と症状が必ずしも一致しない症例もあると報告されています。
以下は、SScに合併したGERDです。自覚症状はありませんが、胃食道接合部のびらん・発赤が顕著です。
潰瘍性大腸炎①(大腸内視鏡/大腸カメラ)
潰瘍性大腸炎については、当院ホームページにも疾患概要をご説明させて頂いておりますので、あわせてご参照ください。
https://www.jiyugaoka-gc.com/ibd/
潰瘍性大腸炎の治療薬のひとつにリアルダという5-ASA製剤があります。
リアルダはpH応答性コーティング、multi matrix technologyという技術で、
小腸では錠剤が崩壊せず、内部の有効成分が盲腸から直腸まで大腸全域にわたって持続的に徐放されるように設計されています。
以下の症例は当院で経験された潰瘍性大腸炎(全大腸炎型)の症例です。
この症例では下血、下痢といった症状や、内視鏡で認められた炎症所見が、内服薬のみで比較的速やかに改善しました。
前段には治療前の様子、後段には治療後の様子をお示しします。
後段の画像では、治療後の粘膜治癒が得られた様子や、リアルダ錠が盲腸で崩壊し、肛門側にかけて薬剤が徐放されている様子がわかります。
治療前
治療後
薬剤性潰瘍①(胃内視鏡/胃カメラ)
ピロリ菌と、NSAIDs(ステロイド構造以外の解熱・鎮痛薬)は、消化性潰瘍の2大成因です。
よく知られたNSAIDsには、アスピリン、ロキソニン、ボルタレンなどがありますが、様々な診療科で使用され、一部市販もされています。
ピロリ菌の感染がなく、かつNSAIDsの服用のない方の潰瘍リスクを1(オッズ比)とすると、ピロリ菌感染者は18、NSAIDsの内服されている方は19、両方の方は61になります。
また、NSAIDsを1週間から6か月程度内服した方の内視鏡所見では、胃潰瘍が15%、十二指腸潰瘍が5%に認められたとの報告もあります。
痛み止めを連用している方の、心窩部(みぞおち)付近の痛みでは、NSAIDsによる胃腸障害を考慮する必要があります。
NSAIDs潰瘍は、胃幽門前庭部(胃の出口付近)に好発し、多発する傾向があるとされています。
写真は、ピロリ陽性でロキソニンの連用された方に生じた潰瘍です。
胃幽門前庭部に多発する潰瘍・びらんが認められます。