医院名:医療法人社団侑思会 自由が丘消化器・内視鏡クリニック 
住所:〒152-0035 東京都目黒区自由が丘2丁目9−6 Luz自由が丘5階 
電話番号:03-6421-2852

心窩部痛・背部痛

心窩部痛(胃痛)について

胃痛とは、正式な医学用語ではありませんが、みぞおち付近の痛み(心窩部痛)のうち、胃の疾患が原因で生じる痛みを言います。 問診や腹部の診察所見から、みぞおち(心窩部)の痛みが胃に原因があると考えられる場合には、胃内視鏡検査(胃カメラ)をして詳しい検査をします。
代表的な器質的疾患は、

  • 胃・十二指腸炎/潰瘍
  • 胃がん
  • 胃アニサキス症
  • 逆流性食道炎

などがあげられます。
胃潰瘍や胃がんは、ほとんどの例でピロリ菌が関与しているので、治療にはピロリ菌の除菌治療も併せて行われます。

心臓(心筋梗塞、心膜炎など)、胆のう(胆のう炎、胆道結石)、膵臓(膵炎、膵癌)などの病気でも、胃の痛みによく似た症状を引き起こす場合もあるので、そういった他の臓器の検査(血液検査やCT検査)も併行して行う場合もあります。 

 

 

他方で、胃内視鏡検査などで、特に原因となるような顕著な異常がなくても、胃の痛みやもたれなどの症状が起きる場合があり、そのような病態は機能性胃腸症(functional dyspepsia, FD)と呼ばれます。

  • <ピロリ菌による胃潰瘍①>

  • <ピロリ菌による胃潰瘍②>

     

    <鎮痛薬による薬剤性潰瘍>

    <胃アニサキス症>

     

    機能性胃腸症/機能性ディスペプシア(functional dyspepsia, FD)

    機能性胃腸症は、国民の4人に1人くらいはいると言われるほどのごくありふれた疾患で、症状の原因となりそうな器質的、全身性、代謝性疾患がないにも関わらず、①食後のもたれ感(膨満感)、②早期飽満感(食べ始めてすぐに満腹になってしまうこと)、③心窩部の痛み、④心窩部が焼けるような感じ(心窩部灼熱感)の4つのうち、1つ以上が6か月以上前からあり3ヵ月以上持続しており(①②は週に2回以上、③④は週に1回以上の頻度)、日常生活に支障をきたしている場合に診断されます(Rome Ⅳ基準)。
    それ以外にも食欲低下、吐き気など、人によって様々な症状を伴うことがあります。診断の目安には、症状が「3か月以上続いている場合」とはあるものの、それよりも短い期間であっても、実務上は臨床的に機能性胃腸症と診断し、治療されている例が多いのが実情です。

    そして、機能性胃腸症は、症状の内容、タイミング、頻度などにより、大きくわけて食後愁訴症候群(Postprandial Distress Syndrome: PDS、上記①と②)と、心窩部痛症候群(Epigastric Pain Syndrome : EPS、上記③と④)に分類されますが、両者は併存することもあります(PDSの症状は主として胃もたれであり、詳しくは「胃もたれ」の項目も参照されてください)。

    胃貯留能障害、胃排出能異常、消化管知覚過敏、胃酸の過剰分泌、心理社会的要因などのいくつかが絡んで発症する多因子による疾患で、消化管知覚過敏に関しては,十二指腸における微細炎症・粘膜上皮バリア機能障害が関与するとされています。また、ピロリ菌感染も原因の1つとされています。

    治療法

    生命に関わることはありませんが、労働生産性に低下をきたしうることから、積極的な治療を行います。ピロリ菌が陽性の場合、まず除菌治療が試みられ、症状が改善する場合にはH. pylori関連ディスペプシアと診断されます。改善しない場合やピロリ菌が陰性である場合には、おおむね機能性胃腸症と診断されます。痛みがメインであるEPSの場合、胃酸を抑える薬剤(酸分泌抑制薬)である、H2ブロッカー(H2RA)と、プロトンポンプインヒビター(PPI)が有効であることがわかっており、一次治療に推奨されています。 膨満感が強いPDSの場合、前記した制酸薬に加えて、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(アコチアミド)が、胃運動の低下や胃からの食物排出遅延を改善に効果を示し、併用により上乗せ効果が期待できます。また補助治療として漢方薬(六君子湯)が使用されることもあります。以上の処方で改善に乏しい場合には、二次治療として抗不安薬や抗うつ薬、アコチアミド以外の運動機能改善薬(モサプリドなど)、六君子湯以外の漢方薬の投与などが考慮されます。喫煙、アルコール摂取、高脂肪食摂取は増悪因子と考えられており、食事内容と生活習慣の改善によっても改善が得られることがあります。

    機能性腹痛症候群(functional abdominal pain syndrome:FAPS)

    機能性胃腸症の類似疾患として、機能性腹痛症候群(functional abdominal pain syndrome:FAPS)というのもあります。
    これは、機能性消化管障害でありながら、症状はむしろ消化管機能との関連性が乏しい、慢性の腹痛をきたす疾患です。本症は、うつや不安障害などの精神疾患を合併し、生活の質が障害されている症例が多いとされています。内視鏡検査やCT検査などで原因が判然としないまま、機能性胃腸症と診断され胃薬を処方されているものの、症状の改善に乏しい場合に本症が想起されます。
    病態としては、神経障害性疼痛に効果を示す、低用量の三環系抗うつ薬が、時に痛みに効果的である場合があることから、神経性障害と考えられています。

    治療法

    治療は、前記した三環系抗うつ薬の他、認知行動療法などがありますが、消化器内科医だけでなく、心療内科や精神科と共同して治療にあたる場合が一般的です。試験的に低用量の三環系抗うつ薬を処方すると、症状が顕著に改善することがあります。

    監修・文責 自由が丘消化器・内視鏡クリニック 院長 岡田 和久

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