大腸SSL(Sessile Serrated Lesion:無茎性鋸歯状病変)は、大腸がんの前がん病変として近年重要視されており(1)、
従来の腺腫とは異なり、「鋸歯状経路」と呼ばれる別の発がん経路をとり(2)、特に右側結腸に多く発生するという特徴を持ちます(1)(3)。
形態は、平坦あるいはごく低い隆起を示し、ポリープのような隆起を呈しなかったり、表面に粘液が付着していたりすることが多いとされています(4)。
病理学的には、腺管底部の拡張やL字・逆T字型の鋸歯状構造を示します(1)(5)。
遺伝子の変異としては、BRAF変異という変異が高頻度に認められ(2)(6)、さらにDNAメチル化異常(CIMP)が強く関与します(3)。
これらの分子異常により、通常の腺腫より急速にがん化する例があるともされており(6)(7)、10mm以上のSSLでは将来的ながん化リスクが有意に高まるため(4)(8)、特に異形成を伴う場合には切除することが強く推奨されています(1)(8)(9)。
一方で、前記したように病変は平坦で存在感に乏しいうえに、周囲粘膜との色調差がつきにくいという特徴があるため(4)、病変自体の広がりも分かりにくく、発見も切除範囲の判断も難しい場合があり(10)、通常の白色光内視鏡では見逃されやすいと報告されています(3)(11)。
このような視認性の悪さが、SSLの検出率低下につながっているため(11)(12)、観察時間の確保と丁寧な洗浄が、検出率向上に重要とされています(8)(12)。
以下の病変は盲腸の15mm大の病変で、比較的視認性が悪い病変となっています。

引用文献
(1)WHO Classification of Tumours Editorial Board. Digestive System Tumours, 5th ed. IARC, 2019.
(2)Leggett B, Whitehall V. Role of the serrated pathway in colorectal cancer pathogenesis. Gastroenterology. 2010.
(3)Rex DK, et al. Serrated lesions of the colorectum. Gastroenterology. 2012.
(4)東正新ほか.大腸鋸歯状病変の内視鏡診断.胃と腸. 2018.
(5)Torres C, et al. Serrated colorectal lesions: classification and clinical relevance. World J Gastroenterol. 2015.
(6)Iino H, et al. BRAF mutation and CIMP in SSL. Gut. 2014.
(7)Bettington M, et al. Serrated pathway colorectal cancer. Pathology. 2013.
(8)日本消化器内視鏡学会.大腸ポリープ診療ガイドライン.2020.
(9)Torlakovic E, et al. Sessile serrated adenoma with dysplasia. Am J Surg Pathol. 2008.
(10)Hayashi N, et al. Endoscopic resection of SSL. Endoscopy. 2019.
(11)East JE, et al. Serrated lesion detection. Gut. 2015.
(12)Kahi CJ, et al. Colonoscopy quality and serrated polyps. Clin Gastroenterol Hepatol. 2014.




















