腸管嚢胞様気腫症(大腸内視鏡/大腸カメラ)
腸管嚢胞様気腫症は、比較的稀な病態で、腸管壁内の粘膜下層などを中心に多発性(大小不同)の含気性気腫を形成するものです。
特発性が約15%、基礎疾患(慢性閉塞性肺疾患、膠原病、炎症性腸疾患、悪性腫瘍など)の併存がある続発性が約85%とされています。発生機序は、通過障害などにより腸管内圧が上昇し粘膜の損傷部位から腸管内ガスが侵入するという説、ガス産生菌が粘膜下に進入して発症するなどの説、薬剤(αグルコシダーゼなど)による説などが想定されていますが、いくつか要因が重なり発生するのではないかとも考えられています。
無症状である場合には経過観察となりますが、所見自体は翌年も消えずに残っている場合もあれば、消退傾向となる場合もあり患者さんにより差があります。腹部症状や下血を伴う場合などには、絶食などの保存治療や高圧酸素療法などが考慮されます。
骨盤内神経鞘腫(大腸内視鏡/大腸カメラ)
大腸検査では内腔の粘膜異常だけでなく、場合により腹腔内、骨盤内からの異常な圧排所見を観察できる場合があります。
一見しただけでは、粘膜下腫瘍か壁外圧排かは判別が難しい場合もありますが、CTや超音波内視鏡検査などで鑑別が可能です。
以下は当院で経験された、稀な骨盤内の神経鞘腫です。直腸とS状結腸の壁外圧排所見で発見されました。
クローン病③(大腸内視鏡/大腸カメラ)
クローン病については、以下もご参照ください。
クローン病の内視鏡所見では、縦走潰瘍や敷石状外観といった所見の他、瘻孔(管腔臓器間等に生じる異常な接続)を形成する場合があります。
瘻孔、痔ろうなどの瘻孔に対しては、抗TNFα抗体製剤などの生物学的製剤の治療選択肢があり、手術を回避できるようになってきています。
以下はクローン病でS状結腸に瘻孔を形成した症例です。
直腸粘膜脱症候群①(大腸内視鏡/大腸カメラ)
粘膜脱症候群とは、排便時間が長かったり、排便時にいきんでしまう習慣などが契機となって、直腸粘膜の形態変化を引き起こし、組織学的に線維筋症を認める疾患をいいます。
内視鏡の所見では、潰瘍型、平坦型、隆起型などに分類され、外観は多彩です。
前記した排便習慣の改善が治療となりますが、効果に乏しい場合には内視鏡的処置が行われる場合があります。
以下は隆起型MPSの症例です。
感染性腸炎③(大腸内視鏡/大腸カメラ)
以下もキャンピロバクターによるバウヒン弁の潰瘍です。
症状が改善した後、念のため検査希望とのことで大腸検査をされ発見されました。
外食で焼き鳥を食べた後に発症するのが、典型的なエピソードです。
感染性腸炎②(大腸内視鏡/大腸カメラ)
キャンピロバクター腸炎については、以下のリンクもご参照ください。
以下の症例も、紹介受診されたキャンピロバクターによる腸炎の方です。
盲腸のバウヒン弁(回腸と盲腸の間の弁)に潰瘍が認められます。
キャンピロバクター腸炎では、0.1%程度の方に、
感染後1-3週間の間に「ギラン・バレー症候群」が発生する場合があるので注意が必要です。
ギラン・バレー症候群は、急性・多発性神経炎で、手足に力が入らなくなるなどの症状で発症します。
重症の場合、呼吸不全となり、呼吸器管理を必要とする場合があります。
神経内分泌腫瘍(NET/NEC)⑤(大腸内視鏡/大腸カメラ)
直腸NEN(NET)については、以下のURLなども参考にされてください。
以下の症例も、当院で経験されたφ4mm大の直腸NEN(G‐1)です。
無症状で発見されました。
回腸癌①(大腸内視鏡/大腸カメラ)
小腸の腺癌は、消化管に発生する悪性腫瘍の5%以下とされており、比較的稀です。
早期癌では、早期の胃癌や大腸癌同様、ほとんどが無症状です。
小腸は通常の上部・下部内視鏡による観察が不可能であり、小腸の内視鏡検査もあまり一般的でないため、
小腸癌は、出血や腸の狭窄による症状(下血、腹痛、腸閉塞)などの症状で、進行した状態で発見されることが多くなっています。
小腸癌のうち回腸癌は回盲弁から 60cm以内が 約85%を占めるとされています。
以下は当院で発見された回腸末端の癌です。
内視鏡で回盲弁(小腸と大腸の間にある弁)近傍にあったため、幸い発見が容易でした。
虚血性腸炎③(大腸内視鏡/大腸カメラ)
大腸内視鏡(大腸カメラ)の前処置には洗浄液の内服が必要ですが、排便が頻回になるために虚血性腸炎様の所見が誘発されることがあります。
ほとんどの場合には無症状ですが、腹痛や膨満感などの症状を呈したり、稀に重症化するケースも報告されています。
以下は前処置によるものと思われる虚血性腸炎様の大腸炎です。