神経内分泌腫瘍(NET/NEC)⑤(大腸内視鏡/大腸カメラ)
直腸NEN(NET)については、以下のURLなども参考にされてください。
以下の症例も、当院で経験されたφ4mm大の直腸NEN(G‐1)です。
無症状で発見されました。
回腸癌①(大腸内視鏡/大腸カメラ)
小腸の腺癌は、消化管に発生する悪性腫瘍の5%以下とされており、比較的稀です。
早期癌では、早期の胃癌や大腸癌同様、ほとんどが無症状です。
小腸は通常の上部・下部内視鏡による観察が不可能であり、小腸の内視鏡検査もあまり一般的でないため、
小腸癌は、出血や腸の狭窄による症状(下血、腹痛、腸閉塞)などの症状で、進行した状態で発見されることが多くなっています。
小腸癌のうち回腸癌は回盲弁から 60cm以内が 約85%を占めるとされています。
以下は当院で発見された回腸末端の癌です。
内視鏡で回盲弁(小腸と大腸の間にある弁)近傍にあったため、幸い発見が容易でした。
虚血性腸炎③(大腸内視鏡/大腸カメラ)
大腸内視鏡(大腸カメラ)の前処置には洗浄液の内服が必要ですが、排便が頻回になるために虚血性腸炎様の所見が誘発されることがあります。
ほとんどの場合には無症状ですが、腹痛や膨満感などの症状を呈したり、稀に重症化するケースも報告されています。
以下は前処置によるものと思われる虚血性腸炎様の大腸炎です。
食道潰瘍⑥(胃内視鏡/胃カメラ)
食道潰瘍のなかでも熱傷によるものは、たびたび経験されます。
以下は、たこ焼きにより食道粘膜に熱傷をきたした例で、上部から中部食道にかけて線状の潰瘍を呈していました。
感染性腸炎①(大腸内視鏡/大腸カメラ)
- 感染性腸炎は細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体による腸炎で、汚染された水・食事等による経口感染や接触感染が多い。
- 一般的に、夏に細菌性腸炎、冬にウイルス性腸炎が多く発生します。
- キャンピロバクターは食中毒の主要な病原菌で、約2日の潜伏期を経て、下痢(下血)、腹痛、発熱の症状を呈します。
- 感染源としては、鶏肉、生レバーなどが多く、日常診療では焼き鳥屋さんで食事をした後に発症したというエピソードが多いです。
- 血便をきたしうるため、特に潰瘍性大腸炎との鑑別を要します。
- また治癒しても数週間後にギランバレー症候群という神経疾患を発症することがあります。
以下は当院で経験されたキャンピロバクターによる感染性腸炎の一例です。回盲弁に潰瘍(瘢痕)を伴っていました。
膠原線維性大腸炎②(大腸内視鏡/大腸カメラ)
collagenous colitis(膠原線維性腸炎)については、以下もご参照ください。
以下の例も、当院で無症状で発見された症例で、幅の狭い縦走する瘢痕を認めた例です。
膠原線維性大腸炎①(大腸内視鏡/大腸カメラ)
collagenous colitis(CC:膠原線維性大腸炎)は、血便を伴わない慢性水様性下痢が特徴で、大腸内視鏡所見は正常あるいは特徴的な所見を認め、生検組織において上皮基底膜直下に特徴的な厚い膠原線維束(collagen band)と炎症細胞浸潤を認める疾患をいいますが、最近では検診で発見される例が多くなり、症状を伴わない例もあります。
病因に関しては、特定の薬剤をはじめ、自己免疫、遺伝的素因、腸管感染、胆汁代謝異常、食物アレルギーなどさまざまな原因が想定されていますが、日本では薬剤に関連した症例が多く、プロトンポンプ阻害薬(PPI)、非ステロイド性消炎鎮痛薬などによるものが多いとされています。
内視鏡所見は、見ためが全く正常である例もありますが、粘膜の発赤、浮腫、毛細血管の増生(cat scratch sign)、顆粒状変化などの軽微な所見を呈することもあり、とき幅の狭い縦走潰瘍(mucosal tears)がみられることもあります。
以下の例は、当院で慢性下痢のため内視鏡検査を施行し発見された、ランソプラゾールによるCCの症例です。
幅の狭い縦走潰瘍瘢痕を認め、病理所見でもCCと診断されました。
症状はランソプラゾールの中止で速やかに改善しました。
好酸球性食道炎③(胃内視鏡/胃カメラ)
好酸球性食道炎については、以下もご参照ください。
以下の例は好酸球性食道炎(EoE)に食道びらんを伴った例です。
もともと以前からEoEによる食事のつかえ感があったところに、びらんが併発し、強い胸痛の症状を伴っていました。
食道狭窄①(胃内視鏡/胃カメラ)
食道狭窄とは、食道の一部が狭くなり食べ物が通りづらくなっているような状態をいいます。
良性の食道狭窄は、先天性、逆流性食道炎や潰瘍に伴うもの、鉄欠乏性貧血などに伴う食道web、腐食性食道炎による瘢痕性狭窄の他、機能性の食道蠕動障害(アカラシア、びまん性食道狭窄)などがあり、制酸薬や内視鏡的手技、あるいは外科手術で治療されます。
悪性疾患に伴うものとしては、食道癌や悪性リンパ腫、粘膜下腫瘍などによる腫瘍性病変によるものなどがありますが、ときにそれらの内視鏡治療後・外科手術後・放射線治療後に狭窄をきたすこともあります。
先天性食道狭窄症は、生まれつき食道の中部から下部にかけて狭窄をきたす疾患で、発症頻度は5万人に1人程度とまれな疾患です。哺乳不全となるため拡張術や外科手術など速やかな処置を要します。
以下は先天性食道狭窄の例(拡張術後)で狭窄部に食物が停滞していましたが(左)、内視鏡的に異物を摘出する処置をし停滞を解除しました(右)。
早期胃癌⑨(胃内視鏡/胃カメラ)
胃腺腫は胃生検組織診断分類でGroup 3と診断される良性の病変をいいます。
注意すべきは、生検で腺腫とされても切除後に胃癌と診断される例があり、特に形態的に平坦なのものや陥凹している腺腫(陥凹型腺腫)では、切除後に癌と診断される確率が3-5割程度あると報告されています。
以下は当院の検診で発見された平坦型の腫瘍性病変で、当初の生検では胃腺腫と診断された例です。
切除後の病理では早期がん(0-IIb)の診断となりました。
病変は通常内視鏡で確認される範囲よりも口側に伸展しており、25mm大の病変でした。